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そうだね。
信じることは、素敵なことだよ。
―――の声がする。だけど、その声に答える気にはなれなかった。
あたしは、また、まただ。
―――を傷つけてしまってる。
あたしが傍に居るだけで、それだけで―――は仲間はずれにされちゃう。
―――はあたしの傍に居たら駄目なの。
顔をうずめて泣いた。
結局、独りでは居たくないって言っているあたしに気付いたから。
「………見つけました。」
「!!」
「何で、答えてくれなかったんです?」
柔らかく、苦い笑いを浮かべながら言う―――を見て、また涙が溢れた。
「あっ……。泣かないでください…アズリ。」
「だって…って…―――…みんなに仲間はずれにされちゃって…あたしのっ……せっ…なのにっ…!!」
あたしの言葉に、―――は「心外だ」とでも言いたそうな顔をする。
「何言ってるんですか、アズリ。」
「だって…だって…―――だってみんなと遊びたいでしょう…?」
そう言うと、―――は優しく微笑んであたしの背中を撫でてくれた。
「落ち着いて」と、小さく呟きながら。
「…僕は、」
ふわり笑うその姿は、本当に綺麗で。
「他の子と遊ぶよりも、アズリと遊んでいる方が楽しんですけどね。」
涙が止まったって思ってたのに、また溢れ出した。
「でもっ…あたしっ………」
「アズリは、全然、変じゃ、ないです。」
ゆっくり。言い聞かせるように小さく区切って伝えてくれる。
「貴女は変じゃない。」って。
「僕は好きですよ?アズリの髪の色。」
クスリ笑って言う―――は、本当に優しいね。
「みんな、ね?アズリが羨ましいんですよ。だから、虐めてしまうんです。」
「僕は別ですが。」冗談交じりに言ってくれる。
気を使ってくれてるんだ。
「アズリ、聖書。差し上げます。」
「聖…書……?」
「はい。」
手渡されたのは黒い表紙に、金の装飾文字が施された綺麗な本。
「憎むよりも、愛しましょう。アズリはそれが出来る子です。ね?」
「憎むより、愛す。」…?
―――と、あたしを虐めたあの人たちも?
「…無理だよ、あたしには……出来ないよ……。」
「ならば、今からだっていいんです。ゆっくりでいいんです。少しずつ、少しずつ。僕もお手伝いさせていただきますから。」
―――も、一緒に……?
あたしは、独りじゃないの?
「アズリ。」
「…?」
「“疑うよりは、信じなさい”ですよ、アズリ。」
「……。」
「僕のこと、信じられませんか……?」
「――っ…信じる。―――のこと、信じる!」
「それは良かった。」
そうだね。
―――を信じてよかった。
疑うよりは信じなきゃ。―――の言ったとおり。
だって……
信じることは・・・
(―――。今のあたしはね、信じられる人いっぱい出来たんだよ。)